2010年8月10日火曜日

交換様式から社会構成体の歴史を見直す

マルクスの資本論は商品価値の中には生産による価値の創造のみがあり、交換による価値は存在しないことを主張していると思います。そして資本は商品の交換によりみかけの価値を付加して、資本の蓄積を行い労働者の生産による価値を収奪すると考えています。しかしながら交換による価値の創造はないとすることは資本論の問題であり、生産による価値の創造と交換による価値の創造が社会に利益をもたらし、社会を構成させていると思います。その意味で柄谷行人氏が「本書は、交換様式から社会構成体の歴史を見直すことに、現在の資本=ネ-ション=国家を越える展望を開こうとする企てである。」とされていることはとても期待されます。しかしながら資本論から由来された共産主義イデオロギーよりも貨幣経済が始まって以来の資本主義の方が社会構成体にとって有効であることはすでに証明されていると思います。問題は資本がそれ自体として蓄積され、集中化され貧富の差を増大させる方向にしか進まないことです。交換様式の変遷は技術革新の影響を受けているだけであったという結論であったとしても、交換様式の多様化と制度による法的規制により資本の偏在性、集中化が緩和され、融通性、分散化により世界共和国的な方向に進む可能性があります。

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