2011年10月14日金曜日

推認という熟語の意味

平成23年9月26日、陸山会事件の1審において、東京地方裁判所の登石郁郎裁判長により、推認により有罪判決が下されました。
しかし、推認という熟語そのものが意味不明であり、判決は推定無罪の原則を無視するものであるため、登石郁郎裁判長の罷免を要求します。

推認という熟語は漢和辞典にありません。日本最大の漢和辞典「大漢和辞典」には推がつく二文字熟語は推定、推測、推量、推察、推任など192個ありますが、推認は存在しません。
国語辞典の広辞苑にも最新の第6版(2008年1月20日)に推認は存在しません。
また日本国語大辞典においても第2版(2001年7月20日)に推認は存在しません。

そして大辞林においても初版(1988年11月3日)には推認は存在しません。
ところが大辞林においては第2版(1995年11月3日)から推認が存在します。
従って、推認という熟語は1988年11月3日から1995年11月3日の間に何らかの目的のために造語されたと考えられます。

大辞林第3版(2006年10月27日)にも推認は記載されていて、その意味は「すでにわかっているものをもとに、推測し、認定すること」となっています。
これでは推定と同じと思えますが、推定の意味は「はっきりとわからないことをいろいろな根拠をもとにあれこれ考え決めること」となっています。
このように記述しても推認と推定の意味の差はありませんが、推認と推定の意味が逆転しているような印象も受けます。

また三省堂国語辞典(2008年3月10日版)にも推認は存在し、その意味は「すでにわかっていることをもとにして推測、判断すること」となっています。この記述にも推定と推認の意味の差はありませんが、どこかで推認により有罪が判決されたことがあるという可能性が感じられます。

法律用語辞典にも推認は存在しませんが、コンパクト法律用語辞典第6版(2011年3月25日)に推定の説明として「ある事実から他の事実(推定事実)を推認すること」と記載されています。これでは推定事実に至る認識過程として推認を想定しているように思えますが、認識の至るところは事実ではなくあくまで推定事実です。つまり推認は推定と同様に事実を確定できるものではありません。

和英辞典にも推認は存在しません。しかし、インターネットでの英語用例としてPresumption, Inferenceがありますが、これは推定と同じです。 推定にはEstimationの意味もありますので、判断の意味が加味されていると言えます。

漢和辞典に推認の熟語がないことは推という漢字と認という漢字を結び付けても意味のある熟語はできず、用例としても存在しないことを示しています。
敢えて、推の意味の「考えをおしすすめる」と認の意味の「じわじわとみさだめる」を結びつけて、推認を「考えをおしすすめてじわじわとみさだめる」にしても推定と明確な差はなく、推認は推定より判断の意味は少ないと思えるだけです。

結局、推認という熟語の存在理由はなく、意味不明な造語をもとに推定無罪の原則を無視して、推認により有罪の判決をした裁判官の責任は免れない。